土佐路
5月22日(木)晴れ
四国入りしてちょうど10日目、できれば明日一杯で土佐路の巡拝を終えて愛媛入りしたいが、焦りは禁物である。早々とホテルをチェックアウトし、堺町バス停06:47発の県営バス宇佐行きで三十五番青龍寺(ショウリュウジ)に向かった。スカイライン入口というバス停で降り(1,020円)宇佐大橋を渡り、40分ほどで寺に着いた。かなりきつい階段をのぼりつめた本堂と大師堂で参拝し御朱印をもらう。当地には明徳義塾の国際学科があり、横綱朝青龍はここで学んだという。寺を出て海に面した食堂で朝食代わりのきつねうどん(500円)を食べ、ここ数日来の炎天下でその必要性をひしひしと感じていた菅笠が飾ってあったので、2,500円也で譲ってもらった。きれいな砂浜沿いの道をスカイライン入口まで戻ったら、どんぴしゃりのタイミングでバス(500円)が到着し飛び乗った。思わず「南無大師遍照金剛」のお題目を唱える。
今朝がた乗って来た道を中島停留所に戻り高岡営業所行きに乗り換えて終点で降りた(260円)。そこから三十六番清滝寺(キヨタキジ)まではおよそ1時間の山登りである。ようやくたどりついた寺には団体客がおらず、ゆっくり参拝出来た。別に団体を毛嫌いするわけではないが、なるべくなら遭遇しないことを祈っている自分は修行が足らないのかもしれない。オーストラリアから来た青年が納経帳に御朱印をもらっていた。親切な納経所のオッサンからもらった地図を頼りに高岡高校前の停留所まで徒歩で下り、一時間ほど待ってからJR須崎駅行きのバス(890円)に乗り込んだ。須崎駅には15:00頃着いたが、三十七番岩本寺(イワモトジ)のある窪川方面行きの特急は16:24分発(1,050円)でかなり間があったので、駅前の喫茶店でカレーチャーハンを注文した(500円)。
岩本寺には、納経所の閉まる17:00までにギリギリ着けるかどうかというタイミングだったので駅前からタクシーで駆けつけ(550円)、何とか御朱印をもらうことができた。需給関係が圧倒的に寺の側に傾いているから致し方ないのだろうが、前もって電話で尋ねたところ5時を少しでも回ったら御朱印は受け付けない決まりとのすげない返事だった。何はともあれ参拝出来たので、携帯で予約を入れておいた中村の民宿に向かうべく、寺を後にした。
窪川から中村までの区間も特急(1,450円)に乗った。鈍行を待っていたら翌朝になりそうな感じがするダイヤ編成で、渋々ながら大金を投じたのである。車内では、ややコワモテのオニイサンに話しかけられたが、外見とは異なりなかなか気さくな人物で、私とおなじ糖尿病を患っているとのことで、玄米食を勧めたりしながら、思いがけなく楽しい会話が弾んだ。さらに先まで乗って行くという彼との別れ際に「ご無事に」と言われ、こちらも改札口を出たところで見送っていたら、座席から驚いたようにこちらに気づき、しきりに手を振っていたのが強く印象に残った。四国遍路の良さの一つは、普段ならまず会う機会のない人々とヒョンなことから口をきき、短時間ではあるが打ち解けることだろう。こうした出会いがあると、思い切って旅に出て良かったとつくづく思う。
中村駅には、四万十川の清流沿いにあるという民宿の奥さんが軽乗用車で迎えに来てくれた。話を聞くと、今日は別に出かける用事があったのだが、私が行く先々から携帯で確認を入れたのが気に入ったとのことで、急きょ受け入れてくれたという。こちらはただ泊まりたい一心でそうしたのを律儀と受け取ってくれたらしい。室戸の民宿と同じ民家の二階を質素だが清潔な客室に改造してあり、夕食の膳には四万十川のアユをはじめ食べきれないほどの御馳走がならび、冷酒を二本付けてもらい堪能した。翌朝のご飯にもおかずがたっぷりとつき、酒代込みで8,000円の宿賃にも納得した。この日の歩行実績は24,000歩、15km。


