土佐路
5月21日(水)快晴
ホテルを07:30に出て三十一番竹林寺(チクリンジ)行きのバス停に行ったら出たばかりとのことでで、1時間半ほど待たねばならない。早朝から陽がジリジリと照りつけ、前日の疲れもひどかったので、躊躇なく手をあげてタクシーをとめた。ゆっくり参拝すればいろいろ見どころのありそうな竹林寺から三十二番の禅師峰寺(ゼンジブジ)までを例によって駆け足参拝で済ませ、タクシーを降りた時点では体力も幾分回復していた。3,700円払っただけの効果はある。気を引き締めて三十三番雪蹊寺(セッケイジ)に向かう、ガイドブックによれば8kmほどの国道沿いの歩道を太陽に焼かれながら黙々と歩いた。途中、造船所で艤装中の新造貨物船を眺めながら、市営で無料の種崎渡船に乗せてもらい、古いながらも比較的賑やかな長浜地区に入った。渡船で一緒になった私と同年齢の遍路は本格的な歩き遍路で、かなり先の方を足取りも軽やかにズンズン歩いている。菅笠と白衣に鈴付きの金剛杖が様になり、まさに歩きのプロといった風情で、つい見とれてしまった。
雪蹊寺の参拝を済ませたところで、例によって私の脱線癖が頭をもたげた。ここは坂本竜馬の銅像で有名な桂浜に近いのである。高知第一の観光地でもあり、バス便(片道260円x2)も多く、これを見逃す手はない。ただひたすら寺ばかりまわるのは私のようなアマチュア遍路の本分ではない。わざわざ桂浜まで足を延ばす遍路はほとんどいないようで、白衣を着て杖をついているのは私だけだったが、白い砂浜と巨大な竜馬の銅像に加え、現在はユースホステルが建っている浦戸城址も見学し、屋台で名物のアイスクリンまで食べ、十分に満足して長浜に戻った。
長浜から三十四番種寺(タネマジ)に行くバスは2時間後でないと出ないというので、ガイドブック表示が10km、標準所要時間2時間半の道を、意を決して歩きだした。桂浜でのリフレッシュが効いたようで、この長い道のりを2時間ほどで踏破してしまった。納経所では、先に並んでいた団体の先達らしきオッサンが順番を譲ってくれた。見かけによらず親切だと思ったが、私の後から来た4人の個人遍路には、「これ以上はタマラン」といって譲らなかった。譲ってもらったおかげでギリギリ間に合ったバスではりまや橋に戻り(660円)、ホテルで風呂を浴び、近くの飲み屋で待望のタタキにありついた(飲み代込みで3,000円)。ただ、こうした料理は一人で食べるには適していない。サワチ料理とかいって、隣の席のオッサン達のように大皿に山盛りで頼んでワイワイ言いながらやるのがいいに決まっているが、無いものねだりをしても仕方がない。とにかく夢にまで見たタタキは、家で食べるのよりはるかに肉厚に切り分けたのにニンニク、ネギ、ミョウガ、シソなどの刻んだやつをたっぷり散らしてポン酢がかけてあり、それなりに堪能した。
この日の歩行実績は、前半にタクシーを利用したにもかかわらず、30,000歩、22kmに達した。顔の日焼けがヒリヒリする。今晩も熟睡だろう。


